あまり知られていない沖縄のオリオンビールに関する7つの事実

: 2015/06/10 : 8 沖縄

 

沖縄でビールといえばオリオンビール。

 

ビーチBBQや結婚式、イベントや祝い事にはもはや欠かせない、沖縄生まれの地ビールです。

 

経営理念にもある地域社会の活性化というミッションを掲げ、戦後間もないころから地場産業を牽引。今や沖縄を代表する大企業にまで躍進を遂げました。

 

沖縄 オリオンビール

 

県民から愛されているオリオンビール。

 

今回は歴史的背景を中心に、沖縄県民にもあまり知られていないオリオンビールに関することを紹介したいと思います。

 

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オリオンビールに関する7つの事実

 

 

1. 企業名は「沖縄キリンビール株式会社」になるはずだった。

1956年9月13日。

会社設立の発起人28名が那覇市壺屋の旅亭「幸楽」に集まり第一回発起人会が開催。
当初予定していた社名は「沖縄キリンビール株式会社」でした。

これは日本本土の大手企業「麒麟麦酒株式会社」との技術提携を想定した上での命名でしたが、技術提携の交渉が取りやめになったので、名前からキリンを削除し、「沖縄ビール株式会社」となりました。

 

沖縄 オリオンビール
創業者の具志堅宗精は株式会社赤マルソウ出身

 

現在オリオンビールは、復興特別措置の期限が切れる2007年からアサヒビールと業務提携しています。

もしスタート当時から出資を受けていたら今のオリオンビールはなかったかも…?

 

ちなみに「沖縄ビール株式会社」は、1957の創業から1959年の2年間だけ存在した幻の名称。

 

 

2.オリオンビールの名称は公募でつけられた。

創業から発売を翌年に控え、一般公募によりビール名が募集されました。

賞金が高額だったこともあり寄せられた応募は2,500通以上!
(賞金は3等まであり、1等は1万B円(83ドル40セント) )。

このとき「オリオン」と命名されました。

 

選定された理由は3つ。

①オリオンは星座のオリオン座から命名されたもので、オリオン座は南の星であり、沖縄のイメージにマッチしていること。
②星は人々の憧れを象徴すること。
③当時沖縄を統治していた米軍の最高司令官の象徴が「スリースター」だったこと。

 

同一名称の応募者の中から選ばれたのは那覇市首里の宮平ヨシさん。

 

ちなみに社名は株主総会で「地域名にこだわらず、世界にも通用するような普遍的な名称に改めてはどうか」という提案をきっかけに、オリオンビールの発売時期とほぼ同時期に変更されました。

 

 

3.「ほろ酔い天国」という月刊情報紙があった。

元々発行されていた「オリオン情報」は株主や販売店、料飲店向けの情報紙。内容を見直し、読者と会社のコミュニケーションツールとして新たに発行されたのが「ほろ酔い天国」でした。ビールのつまみになるような記事などで親近感を与え、多くの知識人が執筆に参加したそうです。

 

タブロイド判4ページの新聞形式で、当初2,500部ほどだった発行部数は最盛期には15,000部にまで達しました。

全110号で1号も休むことなく9年間続いたほろ酔い天国は、合理化を求める企業の流れで廃刊に。1971年まで発行されました。

 

沖縄 オリオンビール

原稿料はびんビール6本?

編集長の山田弘はもと琉球新報の記者。その腕を見込まれて具志堅社長からヘッドハンティングされオリオンビールへ入社した。新聞社時代の人脈が役立ち、ほろ酔い天国には多くの経済人や文化人、芸術家が執筆に応じた。ところで原稿料はというと、大びんビール6本。執筆者の方々には事後広告で原稿料をお支払いしたという。

 

 

4. ビール発売から7年で消費量シェアが95%に拡大した。

ビール発売年の1957年から1966年の7年間で、県内ビール消費量5,533㎘ (推定)から15,452㎘へと、約3倍の伸びを示しています。

オリオンビールの島内消費量シェアはというと、同じ期間に約14%からなんと95%に飛躍的に上昇。

 

1957年 1966年
県内ビール消費量 5,533㎘ (推定) 15,452㎘
オリオンビール島内消費量シェア 14% 95%

 

当時の沖縄は「キリン」「アサヒ」「サッポロ」の大手3社に加え、「ミラー」「バドワイザー」「ハイネケン」「サンミゲール」など外国産ビールが多く輸入されていました。占有市場を切り開くのは困難とされていましたが、人海戦術や市場調査、販売奨励金の商標シール(1本2セント)の導入により、7年間でシェアを9割と躍進を遂げることができました。

 

沖縄 オリオンビール販売奨励金の商標シール

 

生活水準の向上により、ビールが消費者の身近な嗜好品になったことも背景にあったようです。

 

 

5. 幻のサイダー「オリオンサイダー」

1971年から1981年かけて10年間オリオンで発売されていた清涼飲料水。

サイダーの生産はビール会社にとって2つ大きな利点がありました。

ビールの醸造過程で算出される炭酸ガスがそのままサイダー製造に利用できること。製造工程や設備が比較的小規模で済むということ。このメリットから本土の大手ビール会社のほとんどがサイダー飲料の開発・販売に取り組んでいたため、オリオンも販売に踏切ました。

 

沖縄 オリオンビール

 

発売された年は水不足による断水により売れ行きが好調。その後も沖縄海洋博覧会でも販売数をのばし、好調な出だしだったとか。ビンの生産が打ち切られた1981年以後も、1988年まで缶入りサイダーの生産は継続されていました。

 

沖縄 オリオンビール

 

 

6.オリオンビールの納税額は県の国税の5.2%もあった。

1989年度のオリオンビールの納税額は104億3,700万円。
沖縄県の国税に占める割合は5.2%にも及びました。

 

その他に県内で調達している材料費、人件費、運搬費、宣伝費は約39億円にのぼり、オリオンビールという企業の存在により約111億円が県外へ流出するのを免れているかたちとなる。

 

ちなみにこれまで売上高が1番大きい年は1994年で27,762,061(千円) = 277億!
ビールの販売量にして65,856㎘。

沖縄の成人人数で割ると、1人当たり16.8㎘年間で消費していることになります。

 

現在の各生産数は毎時このようになっているそうです。(オリオンHPより)

 

沖縄 オリオンビール

 

 

7. お祝い限定のラベルデザインの瓶ビールがある。

沖縄の結婚式に参加したことがある人はみたことあるはず。

結婚式会場では大体目にするのではないでしょうか。

 

沖縄 オリオンビールPhoto by digicool

 

ラベルに「祝」と書かれているこのビールはまぎれもなく祝い事限定の瓶ビール。祝いの席にオリオンビールありとはよくいったものです。

中身はオリオンドラフトビールになります。

 

ちなみに記念年やキャンペーンなどで限定発売されるオリジナルラベルはけっこうあります。「海洋博記念缶」や「復帰20周年記念缶」、「年賀ビール」、「サミット記念ビール」など様々。

2001年には全国的に話題になったNHK連続テレビ小説「ちゅらさん」を応援しようと「ちゅらさん缶」も誕生しました。

 
沖縄 オリオンビール

 

主に県外向けに発売されていたため、県内で見た事ある人はそれほど多くないかもしれません。

 
オリオンビールはニューヨークの日本食スーパーで販売していたり、本屋さんで発見した世界的なビールの本にも取り上げられていて、沖縄県民として誇りに思います。
 

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これからもますますの躍進に期待!
 

 


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参照:
オリオンビール公式サイト
オリオンビール50年のあゆみ(書籍) / オリオンビール株式会社

 

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